1.設立趣旨書
「この街で安心して住み続けるために」
-市民による市民のための在宅支援を-
「介護保険」の実施が目前に迫っています。このままでは「保険あって介護なし」となるのではな
いか、世代を越えた街からの不安の声を耳にするたび、私たちは介護の土台づくりが現在では最
も求められているのではないかと考え、地域に暮らす市民の目と立場で、今何ができるかと手探り
をして今日に至りました。
私たちは、これまでそれぞれの立場で、さまざまな街づくりの活動に加わり、お互いに「人々を繋
ぐ網の目」を作り出してきました。それらを通じて学んだことは、高齢者や障害者の方々の介護な
どの福祉活動を軸として、男女共同参画社会を目指す冊子の編集、子ども劇場運動、父母と教師
の会など広い分野への目を開くことになったのは確かです。人が生きることは正に学び続ける事
なのだという実感を今、胸にしています。
地域に住む大人の立場からみるとき、次の世代の子どもたちに「人々が手を結び合う豊かな人
間関係」を残すことは大切な仕事だと思います。そしてそのことのためには、年老いても住み慣れ
た地域で人としての尊厳を失うことなく暮らすことのできる街が必要です。「次の世代の幸福」は実
は「現在の高齢者への正当な対応」に既にはらまれているのです。そして「自立した市民」こそが
その担い手として互いに支え合う仕組みに取り組むしかないのだ、と考えるようになったのです。
私たちは、今こう考えています。多くの世代、さまざまな人々に向かって開かれた家庭的な「日帰
り介護施設(デイホーム)」を先ず作りたい。そしてそれを核とした多面的な福祉事業を考えたい。訪
問介護や家事援助は無論のこと、「短期宿泊介護」など専ら高齢者に関わる事業を加えると共に、
「子育て支援」も軌道に乗せ、新しい世紀にふさわしい「地域の家族化」を視野に入れた「互いに顔
の見える相互扶助の事業」をしていきたい。介護保険への参入も考え、その活動の過程でつかん
だことを、「制度の見直し」に当たっては、地域の立場から提言できるような学習も進めていきたい
と思います。
私たちは志を共にする他の「活動集団」と結び合いながら、個人としての立場から言うなら、「自
分が困ったとき、それに最もふさわしい対応」を地域の中で受けられるようにするための活動をこ
れから先も息長く続けるために、ここに「特定非営利活動法人地域ケアネットワークゆいまぁる」を設立
します。地域の皆さんのご理解、ご支援に心から期待いたします。
1999年 4 月 3 日
特定非営利活動法人地域ケアネットワークゆいまぁる
設立代表者 八幡 茂子